橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

銀座「樽平」の冷や汁

classingkenji2010-08-18

浜松町から、銀座へ移動する。久しぶりに「樽平」へ行ってみることにした。
平日だからなおさらだが、サラリーマンが多い。この暑さだから、冷酒を二種類ほどいただく。肴は、たいがい注文することにしている漬け物の盛り合わせ、そして米沢料理という「冷や汁」。冷や汁というと、まず思い浮かぶのは宮崎料理だろう。これは焼いた白身魚を摺って、すりごま、味噌などと混ぜ、潰した豆腐を加えた冷たい味噌汁で、キュウリや茗荷を浮かべて、ご飯にかけて食べる。
ところが、米沢の冷や汁は、これとはまったく違う。干し貝柱と干し椎茸を戻し、汁ごと味付けし、ほうれん草のおひたしと合わせたものだ。これは夏の日本酒の肴としては、最高のもののひとつかもしれない。春に青森で買ってきた干し貝柱があったので、自宅でもやってみた。時間はかかるが、さほどの手間ではない。作り方の詳細は、ネットで調べればいくつも出てくる。凍みこんにゃくや凍み豆腐を使うことが多いようだが、貝柱と椎茸で十分だと思う。(2010.8.10)

中央区銀座8丁目7-9
17:00〜23:00 日祝休