2011年はウサギ年。干支にあやかり、わが国は沈滞から跳躍へと転じるきっかけを、つかむことができるのだろうか。翌12年は米国大統領選挙、ロシア大統領選、中国のトップ交代と、世界では大きなイベントが待ち受けている。その前夜に何が起こるのか。

TPP不参加ならば日本の成長期待は一気に崩れる。<br />欧米の危機、新興国のインフレ懸念にも備えよ<br />――早稲田大学大学院教授・川本裕子川本 裕子(かわもと ゆうこ)氏

 DOL編集部では各分野の著名人、DOLの執筆陣にアンケートをお願いし、2011年を読む5つのポイントをあげていただいた。アンケートではジャンルは指定せず、自由に視点を提示してもらった。さて、今年はどのような点に着目すればよいのか。あなたの予想とは、どれが同じで、どれが違ったか。ぜひ、ご参考あれ。

 上段が今年着目するポイント、下段がそれを挙げた理由である。

①ユーロ加盟国の債務不履行でヨーロッパ全体の金融危機が起きるかどうか。
理由:仏や独のような大国の銀行の問題国に対するエクスポージャーが大きいから。

②アメリカの国債暴落の危険。
理由:財政赤字が制御不能になる危険が少なからずあるから。

③新興国のインフレが10%程度に達する恐れ。
理由:先進国が異常な低金利で資本が新興国に流入し、日本の列島改造時のような過剰流動性問題が再現される恐れがある。

④TPPへの参加を決定できるか。
理由:できない時には、日本の成長期待が一気に崩れる。

⑤日本の安全保障にかかわる国際的緊張の再発。
理由:北朝鮮・中国・ロシアなどとの問題解決の見通しが立たず、日本政府の優柔不断のイメージが残るため。